こんにちは。
グラフィックデザインを中心にフリーランスデザイナーとして活動している楽大舎【らくだいしゃ】です。
このブログでは、デザインを生業として25年間生き抜いてきた中で修得したデザイナーとして生き抜くちょっとしたテクニックを紹介していきます。
デザインのスキルを上げたい方に是非!ご覧いただき実践していただきたい内容となっています。

以前に「80年代パンク風デザインの作り方」で架空バンドとして登場した「THECLUTCH」ですが再登場です。
今回の架空案件は、いよいよデビューが決まった「THE CLUTCH」のデビュー曲「Let’s Ro Go! 〜待ってろ!老後〜」のCDジャケットデザインです。

ここで改めて架空バンド「THE CLUTCH」とは…をご紹介します。
【The CLUTCHとは】
80年代パンクに影響を受け、未だその渦の中から抜け出せない4人組。平均年齢52歳の初老のパンクバンド。「伝達と遮断を繰り返しメッセージを発信して行こう!」をコンセプトに「The CLUTCH」と命名。セックス・ピストルズのビジュアルに憧れながら、ザ・クラッシュのコピーバンドといういかにも日本人的なパンクバンドである。

デザインに関してバンド側からのオーダー

一枚のCDを取り出しフロントマンの彼はこう言った。
デザインはデビュー曲「Let’s Ro Go! 」の思想を「ロンドンコーリング」風にしてほしい!そう、フェイクで!!!

これです!有名なアルバムですね。どうやら、彼らは自分たちこそがクラッシュの後継者だという根拠のない自負があるらしい。
前回はビジュアルはピストルズに憧れていると言っていたのだが…。
まあいい。彼のフェイク!というニュアンスは「真似」と私は直感的に感じ取りました。

さあ!デザインに取り掛かろう!

はじめに完成デザインをご覧ください

このデザインの素材の作り方〜少しアイディアの出し方の部分も紹介していきます。

一部フォトショップを使いますが基本的にはイラストレーターでOKです。
では、始めていきましょう。

まずはデザインの方向性を固めます

デザインをする要素は大きく分けて3つと設定しました。
●一つ目は、「The CLUTCH」というバンドの特徴を表現する。
●二つ目は、デビュー曲「Let’s Ro Go! 」の内容を反映させる。
●三つ目は、デビューという登場感の演出。
【この三つをストーリーにするとこういう事だ。】
50代の初老パンクバンド「The CLUTCH」が伝達と遮断を繰り返し発信してきた末に、「Let’s Ro Go! 」というダジャレな曲名でついにデビューする。その曲は、まさにクラッシュのロンドンコーリングであり日本語カバーといっても過言でないくらい似ている曲となっている。
その歌詞は、老後は全然心配するな!根拠はないけどなんとかなる!国に頼れ!子供に頼れ!でも、精神は自立していろ!…という自分主義を歌いあげている。
ただ、彼らは本気だ。自分たちが日本の老後を変えられると本気で信じて歌っている。
今を楽しく!

私のデザイナーとしての作業はこのストーリーをデザインする事。
そのデザインの方向とまだ世に知られていない彼らを表現するキャッチコピー「もう止まらない!黄色い老人の暴走」を設定した。
そして曲のイメージを反映させる為に曲名を筆で描いた題字をロゴ的に組んでアイキャッチとしました。
後は、整頓作業です。

続いて、その素材の作り方を紹介していきます。

素材をイメージに合わす為に汚していきます

汚し方は今回同じ手法ですので、「待望のデビュー!」部分を例に解説していきます。

コピーをベタ打ちしてアウトラインを取ります。そこから【回転ツール】と【縮小・拡大】ツールを使って動きと強弱をつけていきます。書体の選択や文字の動きに関しては色々見て真似をしてみる事です。そこから微妙なさじ加減の落とし所が見えてきます。

参考にどうぞ。

コピーをグランジ加工をしていきます。グランジ加工するパターンの素材は無料イラストを配布しているサイトなどで入手しましょう。グランジ加工する素材の塗りを白にして【オブジェクト】→【重ね順】→【最前面へ】とします。グランジ加工する素材と文字1文字を選択し【パスファインダー】→【全面オブジェクトで型抜き】とします。この作業を全ての文字で行います。

【ペンツール】でコピーの下地を作ります。
クリップ画像をグランジ加工します。ここではフォトショップを使います。【イメージ】→【色調補正】→【2階調化】で2階調化する階調のしきい値を200とします。
★写真前面のグランジ素材も無料イラストサイトから入手できます。

写真の加工に関して

写真の合成に関してはダミーづくりのレベルですので省略させていただきます。
ちなみに合成している写真は下記のものです。
●ステッキ ●ライブハウス(逆光を追加) ●老人(スイカ割り風景)をベースに腕や手を動かしています。 ●ハゲヅラ
最後に2階調に変換しています。

後は素材を組み合わせてデザインのバランスを取れば完成です。

まとめ

パンク風のデザインは緊張感を出したい場面などで使えるテクニックです。
今回紹介したテクニックは初心者でも気軽にトライ出来ます。
是非、実際の仕事や作品づくりなどでお試し下さい。

同じ様な手法でこんなデザインもできます。

作り方はこちらで無料公開中です。ぜひご覧ください。